夜の積み重ねとその先へ ―ホセ・ジェイムズ ライブレポート 2018/11/2―

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生きている内にトリビュートを

ホセ・ジェイムズ@ビルボードへ行ってきた。

ビル・ウィザーズのトリビュートアルバムという企画モノの公演で、アルバム自体も渋めだし楽しめるか不安なところもあったけど、いやいや杞憂すぎ。
最高だった!!

1時間半の公演で上から下、靴に至るまで衣装替えするほどのホセの気合いの入りっぷり。
微妙に気になってたあのアフロは、ホセの地毛だそうで笑

忙しさを言い訳にCDの解説読まずにライブに行ってしまったんだけど、いやこれ解説も素晴らしいんですね!?

多くのレジェンドが亡くなっていく中で生きている内にトリビュートすることこそ意味があるんじゃないか、っていうホセの意見に赤ベコのごとく納得しつつ。

同世代のシンガー

「風のシルエット」と「Just the two of us」のミックス、「What’s going on」からの「Lovely day」って凄いなと思ったけど、元々こういうアレンジをライブでやっていたところから今回のトリビュートアルバム製作の話になったそうで。

特に、一体この世界に何が起こってしまっているんだ?という「What’s going on」から、そんなときでも君を見れば素敵な日になるという「Lovely day」への流れは実に美しいサンプリング

音源でも「Grandma’s hands」の後半で口を使ってスクラッチ音を表現しているけど、ライブではそれをもっと長くやっていて、この辺りからも我々HipHop世代のシンガーだなぁという印象を受けた。

ホセの誠実さ

「私のすることを支持し続けてくれてありがとう」と何度もお客さんにお礼を言っていたホセ。
ビルの曲は誠実に歌わないといいものにならないと解説で言ってるけど、ホセの誠実さもライブのそこかしこから感じて本当に素晴らしい空間だった。

Lean on me」をライブで歌ったら涙を流しながら一緒に歌ってるお客さんがいて歌の力を実感したと解説で読んで、ああ皆そうなんだなと。
私もまさに、この曲をライブで聞きたくてこの公演に行くことを決めたんだ。

それくらいパワーのある曲だし、ホセの歌いっぷりも素晴らしかった。

レジェンドと呼ばれる人達も、その称号の裏にはこんな名もないけど素晴らしい夜の積み重ねがあり、それは今日現在も素晴らしいアーティスト、ミュージシャンによって世界中で繰り広げられていることを、ホセの姿から実感した。

漫画「ヒカルの碁」で主人公のヒカルが何故碁を打つのか?という質問に、遠い過去と遠い未来を繋げるため、と答えている。
そしてそれは生きる意味にも通じると。

そのことを、言葉を使わずに体感させるホセは本当に凄い。

ライブが良かったのはもちろんのこと、ビルのトリビュートアルバムの公演だからこそ感じられるものもあって、文字通り有難い経験だったな。

しかし『No Beginning No End』であれだけ凝った刈り込み頭をしていて、顔もかっこいいのが売りだったような気がしてたけど、このビル・ウィザーズ関連で露出するときはそれらを全て殺して当時の格好をするあたり、徹底っぷりが凄いな笑

私が行ったのは金曜の1st Stageだったけどほぼ満席だった。
日本でこれだけ人気があるのも、1日2回公演というハードワークを地道に毎回良いものにし続けた結果なんだろうな。

ラストはオリジナル曲「Live Your Fantasy」で締めくくるのもたまらん。

音楽だけじゃなく、その人のこれまでの人生や思想にも触れて感銘を受ける

それこそがライブの醍醐味だということを体感させてくれた、満ち足りた時間だった。

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