フリースタイルダンジョンの盛り上がり
フリースタイルダンジョンが流行ってますね。
なんて、今さらも今さらすぎる話ですが(笑)。
今では3rdシーズンにもなって、2ndシーズンからは収録場所もスタジオコーストという大舞台!
盛り上がりは番組に留まらず、SWITCHなど今までHipHopとは縁のなかった雑誌にも大きく特集が組まれるようになり、たくさんのアーティストが紹介されています。
少し前の氷河期が嘘のような盛り上がり。
ようやく地道に努力し続けた人たちが脚光を浴びて、ファンとしては嬉しい限りです。
でも私個人は、1stシーズンこそ見ていましたが、それ以降は見なくなりました。
今でも絶大な人気を誇る番組だけに、何故自分は離れたのだろうとふと疑問に思い、その理由を考えてみることにしました。
私がHipHopに求めるもの
最初に断っておきたいのは、フリースタイルダンジョンを見て面白くないと思ったことは、ただの一度もありません。
毎週放送される番組だけに、それは本当に凄いことだと思います。
白熱するバトルを繰り広げるモンスターと挑戦者はもちろん、オーガナイザーのZeebra、的確な評論をする審査員、そしてこの番組を作っているスタッフなどなど、関わっている人たち全員の努力の賜物だと思います。
見ると面白いと思うのに、何故見なくなったのか?
まず第一に、社会人には毎週30分の時間を確保することはなかなか難しい、ということがあります。
平日は仕事に追われ、土日の二日間で、休息と溜まっている家事とやりたかった趣味をすべてこなす必要がある我々にとって、毎週毎に30分のまとまった時間を捻出するのは、よほど好きなことじゃないと厳しいのは事実です。
そして第二に。
これが一番大きい理由だと思うのですが、バトルは私がHipHopに求めているものではない、ということだと思います。
即興で思いついた言葉をトラックに合わせ、韻を踏んで、かつウィットも織り交ぜながら勝負するのは、ちょっと考えただけでも実に多くのスキルが必要ですし、単純に見ていてかっこいい。
でも私がHipHopを聞く理由って、かっこ良さじゃないんですよね。
自分でも言葉に出来なかった思い、自覚すらしていなかったこと。
日常を送る上で向き合えていない自分の一部を捉えて、代弁してくれる。それこそが、私がHipHopを聞く一番の理由だと思ってます。
だから、どちらがよりかっこいいかを競うバトルには、時間を割かなくなったんだろうな、と。
そういえば、数年前にブルーハーブとSEEDAの2マンライブを見に行ったとき。
それぞれのステージが終わった後、SEEDAがBOSSに突如フリースタイルバトルを持ちかけました。
最初は普通にバトルでしたが、2ターン目の最後にBOSSが、
「お互い睨み合ってないで、一緒に未来を見ようぜ」
みたいなことを言って観客の方に体を向ける、といったことがありました。
SEEDAの、完敗だという言わんばかりの爽やかな笑顔も印象的で、きっと私が求めてるものは、そういうことだと思います。
HipHop人気の底上げに
もちろん自分が見なくなったからといって、フリースタイルダンジョンの功績を否定するつもりは全くありませんし、むしろこれからも人気番組として盛り上がり続けて欲しいと思ってます。
冒頭で触れたSWITCHでの特集然り、この番組に出てる出てないを問わず、HipHopシーン全体を盛り上げてくれているのには変わりないですから。
まさか、TOHOシネマズに行ってDOTAMAのラップを聞く日が来ようとは、夢にも思ってませんでしたし。
でも今、これだけフリースタイルダンジョンが人気があり、バブルの様相を呈していますが、渦中のラッパーはこれがバブルだと自覚している気がするんですよね。
だからきっと、この熱に浮かれて変な方向にいっちゃうようなこともないんじゃないかと。
まぁ今のシーンのリーダーが、あのストイックの権化である般若ですから、その心配も全くないですが^ ^
これをきっかけに、今までHipHopに触れてこなかった人たちが聞き始めて、その何割かの人たちはきっとその奥にある、HipHopの真の魅力にも触れていることでしょう。
色々な不幸が重なって正当に評価されてこなかった日本のHipHopも、これから先は本当の意味で実力が問われるでしょうし、でもあれだけ素晴らしいライブをやる人が多い現状ですから、ますます熱心なファンを増やしていくのではないかと予想しています。
私は今まで、バブルというものをとかく否定的に捉えがちでしたが、結局それと向き合う人次第で、良くも悪くも作用するんだなぁと、昨今のブームを見て考えを改めた次第です。